システム監査技術者とは?

システム監査技術者とは、情報システムを監査し、企業の情報システムを効果的に活用するよう改善したり、ITガバナンスの向上やコンプライアンスの確保を行ったりする監査人や情報システムの責任者のことをいいます。

そしてシステム監査技術者のスキルを認定する国家試験が、システム監査技術者試験です。

この試験の対象となる人物像は、企業など監査する対象とは異なる立場から、情報システムを客観的に監査し、適切な改善策を提案する人です。

システム監査技術者の試験内容は?

(参考記事)
システム監査技術者試験 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

試験で求められる知識や技能は、以下の3点です。
第1は、情報システムなどの企画から開発、運用、保守にいたるまでの幅広い専門知識に基づき、システムのリスクを分析し、適切な対応策がとれる能力です。
第2は、情報システムのコントロールを評価し、改善点があれば助言を行うなどしてITガバナンスの改善や、法令遵守の強化などを行う能力です。
第3は、ITガバナンスの改善や、法令遵守の強化を実現するため監査計画の作成と監査を実施能力、監査結果の報告および結果に対するサポートを行う能力です。

試験の出題範囲は
(1)情報システム・組み込みシステム・通信ネットワーク
(2)システム監査全般
(3)システム監査の計画立案・実施・報告
(4)システム監査関連する法規
の4つの分野となっています。

情報システムの専門知識だけでなく、企業経営や情報戦略、法務関連など多岐にわたる知識が求められる試験です。

試験は年に1度、春に実施されます。
試験時間は午前試験Iが50分、午前試験IIが40分、午後試験Iが90分、午後試験IIが120分です。
午前試験IとIIはマークシート方式、午後試験Iは記述式、午後試験IIは論述式の問題が出されます。
合格ラインは午前試験I、II、午後試験Iがそれぞれ100点満点中60点以上、午後試験IIはA、B、C、Dと4ランクに分かれている評価レベルで、最高のAを取得しなければいけません。
評価レベルAは出題された項目について十分に触れられており、論述が具体的かつ一貫していること。
さらに、内容が妥当で一定の見識に基づく主張や洞察、行動力などが伺え、独創性があり、文章作成能力が一定レベルに達していることなどが評価されます。

2016年の受験者数は3,635名、合格率は14.3%でした。
合格率は例年14%前後で推移しており、難易度が高い試験といえます。
特に午後IIの論述式の試験が難しく、過去問題を自分でも解いてみて模範解答との違いを理解することが大切です。
また、必要なら通信講座で添削指導を受けるのもいいでしょう。

ITサービスマネージャ

ITサービスマネージャとは高品質なITサービスを提供する業務システムの運用や管理を行う責任者のことをいいます。
そして、ITサービスマネージャに必要な知識や技術が一定水準以上のレベルにあることを認定する国家資格が、ITサービスマネージャ試験です。
この試験は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している「情報処理技術者試験」の1つです。
情報処理技術者試験はレベル1~レベル4までの4段階に分かれており、この試験はそのなかでも上位に位置するレベル4の段階に位置します。

この試験の対象となる人は、情報システムを安定的に稼働させ、トラブル発生時には被害を最小に留めるとともに、継続的な改善や品質管理など、安全かつ信頼度の高いITサービスをマネジメントできる人です。

ITサービスマネージャ試験の内容

(参考記事)
ITサービスマネージャ試験 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

この試験で求められるスキルは、主に次の5つです。
第1は、運用管理・オペレーション・サービスデスクなどのチームの主導者として、サポートサービスとサービスデリバリプロセスの実施および整備を行い、ITサービスを提供できるスキル。
第2は、アプリケーションのライフサイクル管理で、システムの受け入れや運用などが行えるスキルおよび、安定した情報システム基盤を整備し、効率的な運用管理が行えるスキル。
第3は、ITサービスとマネジメントプロセスを見直し、常に改善できるスキルおよび、顧客満足度を向上させるスキル。
第4は、情報セキュリティを適切に管理するスキル。
第5は、顧客の要望に応じたハードウェアとソフトウェアの導入、カスタマイズ、保守・整備を実施するスキルおよび、データセンタのファシリティマネジメントが行えるスキル。

試験では、上記のスキルがあるかどうかを問う問題が出題されます。
出題範囲は
(1)サービスマネジメント
(2)サービスの設計・移行
(3)サービスマネジメントプロセス
(4)サービスの運用
(5)情報セキュリティの運用・管理
(6)ファシリティマネジメント
です。

(1)サービスマネジメントでは、サービス提供プロセス、サービスマネジメントシステムの確立と改善などが出題されます。
(2)サービスの設計・移行では、新規サービスの設計、サービスの変更計画、サービスの開発、サービスの移行などについての問題が出されます。
(3)サービスマネジメントプロセスでは、サービス提供プロセス、関係プロセス、解決プロセス、統合的制御プロセスなどについて出題されます。
(4)サービスの運用ではシステムの運用管理、運用オペレーション、サービスデスクなどについての問題が出ます。
(5)情報セキュリティの運用・管理ではISMSや情報資産管理、リスク評価、セキュリティインシデント、物理的セキュリティ、ネットワークセキュリティソリューション、アクセス制御などが出題範囲となります。
(6)ファシリティマネジメントでは、ハードウェアおよびソフトウェアの基礎的な技術、システムの保守・管理、データセンタ施設のファシリティマネジメント、設備管理などについて出題されます。

試験は毎年、秋に1回実施され、試験に合格すると、経済産業大臣から情報処理技術者試験合格証書が与えられます。

エンベデッドシステムスペシャリストとは?
エンベデッドシステムスペシャリストとは、正式名称はエンベデッドシステムスペシャリスト試験といい、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格「情報処理技術者試験」のなかでも、上位試験のレベル4となる専門的な試験です。

エンベデッドシステムとはあまり聞き慣れない言葉ですが、一口にいうと組み込みシステムのことです。
わたしたちがふだん使っている製品の多くに、IoT技術が使われています。
家電や自動車、家電、モバイル機器、カーナビなどさまざまな製品に搭載されているコンピュータシステムのことを、エンベデッドシステムといいます。
その製品専用のコンピュータシステムなので、快適に機器を使えるようにクイックレスポンスが求められますし、製品に組み込むため小型のものが多く、メモリやバッテリも大量に詰め込むことができません。
制約の多いなかで、求められる機能を発揮する高品質のコンピュータシステムを構築する、組み込みエンジニアのスペシャリストを目指す人におすすめの試験です。

エンベデッドシステムスペシャリスト試験の内容

(参考記事)
エンベデッドシステムスペシャリスト試験 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

この試験では組み込みエンジニアのスペシャリストとして、次の4つのスキルがあるかどうかが試されます。
第1は、機能とリアルタイムな稼働を実現するハードウェアとソフトウェアの機能分担が適切に行える設計書や仕様書の作成能力。
第2は、組み込みシステム開発の制作現場でリーダーとしてプロジェクトを進めていく能力。
第3は、特定の技術または製品分野について専門的な知識と経験を持ち、これらの知見を生かして開発に反映させる能力。
第4は、開発環境の整備・改善が行える能力。

出題範囲は
(1)組み込みシステムの設計及び構築
(2)組み込みシステムのソフトウェアの設計
(3)組み込みシステムのハードウェアの設計
です。

毎年春に実施され、試験は午前に午前I(50分)と午前II(40分)の2つの試験があり、いずれも四肢択一問題です。午後からは午後I(90分)と午後II(120分)の試験があり、いずれも記述式問題が出題されます。
合格ラインは、どの試験も100点満点中60点以上を取る必要があります。
また、過去2年以内に応用情報試験に合格しているか、高度情報処理区分の午前Iに合格していれば、午前1試験は免除されます。

2016年の受験者数は4,205名、合格率は17.2%でした。
独学で勉強する場合は、午前の試験は過去問題を数多く解くのが近道です。
午後の試験は記述式なので、何を問われているのかを正確に把握するために、文章読解力を養いましょう。
こちらも過去の問題を繰り返し解くことをおすすめします。
午後試験I、IIともに、時間との勝負になります。
過去問題を実際に解きながら出題傾向と、試験時の時間配分を体で覚えるようにしましょう。

データベーススペシャリストとは?

データベーススペシャリストとは、正式にはデータベーススペシャリスト試験といい、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が政府から認定を受けて実施する国家試験「情報処理技術者試験」の一つで、試験の中でも最高レベルの専門性の高い資格です。
ビッグデータ時代に、膨大な量のデータを管理し、ハイパフォーマンスなデータベースシステムを構築してデータの分析基盤を提供するデータベースの管理者や、インフラ系のエンジニアを目指す人におすすめの資格です。

この試験の受験者として想定されている人物像は、データベースに関する専門的な技術で、情報システム基盤の企画から開発・運用までのすべての段階で、リーダーとしての役割を果たし、専門家としてその指導ができる人です。

試験では
(1)情報システムの全データ資源の管理スキル
(2)要求に基づいた情報システムの開発全般が行えるスキル
(3)システム開発において、データベースに関する技術が支援できるスキル
の3つの能力が問われます。

データベーススペシャリスト試験の試験内容

(参考記事)
データベーススペシャリスト試験 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

試験範囲は、次の4つの分野です。
第1は、データベースシステムの企画・開発。
データベースシステムの計画立案、条件設定、データモデルの作成、コード・物理データベース・データ操作・セキュリティの設計・アクセス性能の予測、などが出題されます。

第2は、データベースシステムの運用と保守。
データベースの運用・保守をはじめ、データ・パフォーマンス・キャパシティ・セキュリティの管理、データ移行、バックアップやリカバリなどについて出題されます。

第3は、データベース技術全般。
リポジトリや関係モデル・代数、SQL、正規化、排他制御、データベース管理システム、データウェアハウス、新技術動向などが出題されます。

試験は毎年春に実施され、午前に午前試験Iと午前試験II、午後に午後試験Iと午後試験IIが行われます。
午前はいずれも四肢択一問題、午後はいずれも記述試験です。
合格基準は4つのテストとも、100点満点中60点以上となっていのます。

2016年に実施された試験の受験者は1万3,980名、合格率は17.5%でした。
難易度の高い試験ですが、特に午後からの記述式試験で難航する人が多い傾向があります。
午前の試験は過去問題を解いて、出題傾向を頭に叩き込みましょう。
午後の記述式試験も、実際に過去問題を解いてみて模範解答との違いを確認し、クリアできている点とクリアできていない点を明らかにして欠点を克服しましょう。
論述形式に比べると記述試験はやや楽ではありますが、記述によって的確な回答を示さなければならないのは同じです。
文章を正しく読解し、求められている回答を書けるよう文章能力を磨くことが大切です。

ネットワークスペシャリスト

ネットワークスペシャリストとは、ネットワークに関して優れた専門性をもつことを証明する国家資格で、正式名称をネットワークスペシャリスト試験といいます。
情報処理推進機構(IPA)が実施する「情報処理技術者試験」のうちの1つで、ネットワークエンジニアやインフラ系のエンジニアを目指す人におすすめです。

試験の対象者として、ネットワークに関する技術を活用し、最適な情報システム基盤の企画から開発、運用において、リーダー的な役割を担うとともに、スペシャリストとして技術指導や支援が行える人が想定されています。

国家資格として国内では高い評価を得ていますから、企業が資格取得を奨励しているケースも多く、社内でのスキルアップや、転職時の評価にも有利です。
また国家資格なので、官公庁などかのシステム開発の入札時に、この資格の取得者がプロジェクトチームにいることが条件となることもあるので、官公庁からの受注が多い企業では、かなり重視される資格となっています。

ネットワークスペシャリスト試験の内容

(参考記事)
ネットワークスペシャリスト試験 - IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

この試験に求められるスキルは、ネットワークシステムを企画から開発、運用までの業務について、次の3つの役割において指揮をとるとともに、指導者となれる資質です。

役割の1つ目は、ネットワーク資源の管理です。
2つ目は、高機能かつ安全なネットワークシステムの企画、条件設定、開発、そして運用・保守業務。
3つ目は、情報システムの開発案件での技術支援です。

このため出題範囲は
(1)ネットワークシステムの企画、条件設定、開発、そして運用・保守
(2)ネットワーク技術、関連法規、国内・国際標準や他規格
(3)ネットワークサービス活用
(4)ネットワーク・アプリケーション技術
となります。

試験は年に1度、秋に行われ、試験当日のスケジュールは午前に四肢択一の午前試験Iが50分、四肢択一の午前試験IIが40分。
午後に記述試験の午後Iが90分、同じく記述試験の午後IIが120分行われます。
合格基準は、すべての試験で100点満点中60点以上です。

2016年の試験は1万8,096人が受験しており、合格率は15.4%でした。
難易度が高く、かなり経験を積んでいるベテランでも、合格が難しい試験です。
特に午後からの記述試験が難関で、エンジニアとしての技術があっても、読解力や文章能力が未熟だったり論理的な文章が書けなかったりすると、合格レベルに至るのは困難です。
日頃から試験を意識して、わかりやすく的確な文章を書くよう心がけましょう。
特に独学で合格するためには、かなりの勉強が必要です。
独学では途中で挫折するかも……と不安を感じる方は、通信講座などの利用するのも一つの方法です。